行為依存と刑事弁護
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症の状態にあります。 もっとも,彼ら自身が自らの状態を「依存症」であると理解して,自発的に病院などの治療機関や援助に繋がるケースは多くありません。彼らはむしろ自分たちの依存行為を恥じてそれを隠そうとするため,依存行為に対する必要な治療や支援を受けることができないまま,依存行為が繰り返され,問題が深刻化していきます。 このように隠される傾向にある依存症ですが,実は依存症の人と最も出会いやすい職業と言えるのが,私たち弁護士ではないでしょうか。彼らは,依存行為そのものについて問題視することは避けられても(このように自分が依存症であることを認めない態度を「否認」といいます),そこから派生する多重債務や犯罪行為という法律問題を放置し続けることはできません。その結果,彼らは自ら若しくは周囲の勧めで弁護士の元を訪れることになります。 そこで,本稿では本書の総論として,弁護士が行為依存症者と出会ういくつかの典型的な場面を紹介するとともに,弁護士が行為依存症者などに接する際の注意点などについてお話ししたいと思います。2  第1章 行為依存症者を弁護すること~本書の活用方法など~ 2 法律相談 行為依存症者が直面する法律問題のうち,多いのは多重債務と夫婦・家族関係に関する問題です。依存行為者は,例えばギャンブルや買い物といった依存行為を続けるために,借金を重ねているケースが少なくありません。また,依存行為を続けることで,夫婦間や家族間の信頼関係が悪化していたり,生活費を使い込んでいたり,家族の承諾を得ず勝手に家族名義の借り入れをしたりしています。 そこで,多重債務の相談や,離婚相談の際には,相談の背景に依存症の問題が隠されていないかを気にしながら,事実関係の聞き取りをすることがあります。 例えば,次のような質問を例に挙げてみましょう。

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