行為依存と刑事弁護
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第2章第2章第1性依存という問題を知る性依存と刑事弁護 1つ目は,性依存の問題に対する「気づきにくさ」です。 性依存に限らず,何らかの精神障害を抱えている方の弁護活動を行う場合,私たち弁護人は,まず,依頼者との接見を通じて,障害があるかもしれないと気づくことが重要です。 もっとも,弁護人は精神科医ではありませんので,当然のことながら,依頼者の抱えている病名を正確に判断することなどできませんし,その必要もありません。 接見をする中で,何か違和感があると感じること。その素朴な違和感をキャッチすることが重要です。 一般的に,このような違和感は,犯行動機や犯行態様の聴き取りの中で感じることが多いと思われます。たとえば,統合失調症患者による殺第1 性依存という問題を知る  15(1) 性依存問題の「気づきにくさ」1 性犯罪の背景にある性依存の問題 性犯罪の背景に,性依存の問題があることは少なくありません。 しかし,その問題の深刻さとは裏腹に,性依存の問題は,刑事手続の中で,見過ごされてしまいがちです。 その原因としては,以下の点が挙げられます。性依存と刑事弁護

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