行為依存と刑事弁護
39/56

第5章第5章第1窃盗症について窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃窃 みなさんは万引きを繰り返す人にどんなイメージを持っていますか。一般的に万引きという語から連想されるイメージは「貧困」でしょう。毎日の生活を維持するためのものを買うお金がない,だからお店からバレないように盗ってくる。テレビでは,スーパーやドラッグストアの店内を巡回している私服保安員,いわゆる“万引きGメン”を追ったドキュメント番組がよく放映されますが,このイメージを裏切らない万引き常習犯がよく登場します。「代金を支払っていない商品がありますよね?」と声をかけられてから,お店のバックヤードに連れていかれ,厳重に注意された上で「商品を買い取ってください」と言われても,そのためのお金がない人たちです。 私が所属している榎本クリニック(以下,「クリニック」という。)では,万引きがやめたくてもやめられない人が盗まない生き方を身につけるための専門治療を行っています。万引き常習者といっても1人1人が違うパーソナリティ特性や背景を持っています。先に挙げたような貧困ゆえに万引きしなければ生活できない人や,いわば盗みのプロ(職業的窃盗)ともいえる人たちは当クリニックには来ません。彼らに必要なのは,少第1 窃盗症について  175(1) 窃盗症(万引き)のイメージ1 窃盗症とは窃盗症における 地域トリートメント

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る