行為依存と刑事弁護
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なくとも専門治療ではないからです。 では,クリニックで常習的な万引きの問題で治療にきているのはどういう人たちかを考えたいと思います。それは大きく分けると以下の3パターンになります。① 摂食障害がある万引きを繰り返す人② 万引き行為そのものに耽溺している人③ 高齢者で万引きを繰り返す人 窃盗症とは,盗みたいという衝動を抑えることに何度も失敗しながらやめたくてもやめられない状態に陥っている人や,十分な金銭を持っている上に経済的にはさほど困っていないのに,重大な法的リスク(執行猶予中の再犯など)を犯してまで万引きをしてしまう人をいいます。また,スーパーなどのある特定の店舗に行けば盗んでしまうことをわかっているのにもかかわらず,そこに行ってわざわざ万引きを繰り返す人もいます。つまり窃盗症は,「窃盗のための窃盗」なのです。 Gメンに取り押さえられ,警察に逮捕され,家族に泣かれ,大切な仕事を失い,裁判では貯金を投げ打って多くの裁判費用を使い,刑務所に服役し,もうここには戻りたくない,二度と万引きはしない,金輪際盗むもんか……と思っているのに,気づけば万引きをしてしまっている人たちなのです。ここでは,そんな窃盗症に陥っている人々を多面的に理解するためにこの問題が内包している問題や,事例について見ながらその治療について解説したいと思います。176  第5章 窃盗症における地域トリートメント (2) 専門治療が必要な人の実際

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