行為依存と刑事弁護
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第6章その人にあった「刑罰」を考えるということ ここまで実務家に対し,特に法曹三者の専門家について理想だけを述べてきました。では,刑事政策・犯罪学の専門家たちは反省すべきことはないのでしょうか。自戒を込めて最後に触れておきます。犯罪学や刑事政策の知見が日本の犯罪対策に活かされていないのかもしれません。例えば,反省させるほど再犯が増えるとした犯罪学の知見がありますが,行刑改革会議などで特別改善指導として被害者の視点に立った教育がエビデンスの議論もなく導入されています。この被害者の視点に立った教育は,現在実践の中で様々な専門家がより良いものが行えるように海外での実験やプログラムを研究して努力を重ねていますが,さらに同時期に特別改善指導として導入された暴力団離脱指導などについてはエビデンスはなく倫理的に「あるべき論」で行われているようにもみえます。特に,犯罪に関する分野は「あるべき論」で語られがちですが,エビデンスに基づいた政策の決定が望まれています。今の犯罪対策は専門家が言いっぱなしで何が効果のあることなのか実証をしようとする向きが少ないようです。それらを打開するために取れる方法としては,政策提言者は責任を取るべきなのではないでしょうか。ここで述べている「責任を取る」というのは,政策の失敗だと判明した際にそのポストを辞職するということではありません。そうではなく,しっかりとしたエビデンスを収集し,専門的な知見に基づいて判断をし,検証の結果が望ましい結果でなかったのであれば,そのデータを活かして次の政策を考察するという責任の取り方があっていいのではないでしょうか。 真の問題解決のために,それぞれの専門家がそれぞれにできることをやる必要があります。 むすびにかえて  265むすびにかえて

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