6_民信手
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1 信託の基本構造4産の承継を目的とする後継ぎ遺贈型の受益者連続信託などがあります。 民事信託の活用方法にはついては,前書『信託法からみた民事信託の実務と信託契約書例』29頁以下(2017年,日本加除出版)を参照してください。⑴ 意 義 信託の基本構造とは,信託の本質に関する議論です。すなわち,信託行為は,どのような法的な仕組みに基づき構成されているかを説明しようとするものです。 信託の基本構造を予め頭に入れておくと,検討されたことのない問題に直面したときにも,信託法を適切に解釈することが可能となります。⑵ 学 説 信託の基本構造に関し,従来,いくつもの学説が唱えられていました(四宮58頁以下,新井39頁以下)。そのうち,平成18年に改正された現信託法は,基本的に債権説に立って立法されたと説明されています(寺本・逐条解説25頁)。 債権説とは,信託によって受託者が信託財産の完全な所有権を取得する一方で,受益者は,受託者に対し,信託の目的に従った信託財産の管理・処分を行うことについて債権的な請求権を取得するという考え方をいいます(寺本・逐条解説25頁)。つまり,債権説によれば,信託とは,①財産権の移転(その他の処分)という信託行為の「物権的効力」と②一定の目的に従う信託財産の管理処分という信託行為の「債権的効力」の結合と考えます(新井41頁)。第1章 総論――民事信託の仕組みQ2信託の基本構造,信託の特色とは,どのようなものですか。

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