3 特に注意が必要な財産1 信託契約書等の作成 Q9において説明したとおり,弁護士は,依頼者から丁寧に事情を聴き取⑴ 不動産 信託財産が不動産,特に収益不動産である場合には,不動産の現状,登記事項,不動産を担保とした融資の有無及び内容,賃貸借の有無及び契約内容,収支状況,敷金の管理状況,修繕実績,修繕積立金の状況,損害保険の付保の有無及び内容,管理委託契約の有無及び内容などの確認が必要になります。 特に,不動産を担保とした融資の有無及び状況の確認は重要であり,信託予定の不動産が担保になっていた場合には,受託者への所有権移転につき,融資をしている金融機関との交渉が必要になります。⑵ 未上場株式 事業承継を目的とする未上場の自社株を信託する場合,会社の定款を確認することが欠かせません。 具体的には,株券発行会社か株券不発行会社の別,株式の譲渡制限の有無,信託財産とする予定の株式は普通株式か否か,株主名義書換の手続,配当基準日,株主総会に関する定めなどを定款で確認します。また,株主名簿で,委託者の所有株式数,委託者以外の株主の状況なども確認します。 さらに,履歴事項全部証明書で,発行済株式数,種類株式の発行の有無,株式譲渡制限に関する規定などを確認することが重要です。 譲渡制限株式を信託財産とする場合については,Q26を参照してください。33Q12Q12信託契約書等を完成させる前に注意すべき点はありますか。
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