2 金融機関による事前チェックり,その事案に最適な信託契約書,民事信託に関する遺言書及び自己信託設定書面等(以下,本項では「信託契約書等」といいます)を作成することが重要な事務となります。その際に,信託契約書等を完成させる前に,以下の点に注意してください。⑴ 信託口口座の必要性 民事信託においては,受託者の分別管理義務を徹底させる趣旨から,預金に関し,信託財産に属する金銭を管理するための専用口座,いわゆる信託口口座の開設を受託者に義務付けることが一般的です(信託口口座については,Q60,Q104を参照してください)。⑵ 信託口口座の開設の可否 ところで,信託口口座の開設に応じられる金融機関はまだ少数です。受託者の自宅近くの金融機関で信託口口座の開設を行う予定で,信託契約書等を作成しても,実際には信託口口座の開設に応じてもらえないこともあります。そこで,信託契約書等の作成に取り掛かるとともに,並行して,口座開設を希望する金融機関に信託口口座の開設の可否を問い合わせてください。⑶ 信託口口座開設の基準 次に,信託口口座の開設に応じられる金融機関が決まったら,信託契約書等を完成させる前に,その金融機関に信託契約書等のドラフトを提出し,その信託契約書等の内容で信託口口座の開設ができるかを確認するようにしてください。金融機関ごとに口座開設のための独自の基準を設けていますので,信託契約書等の内容に自信を持っていたとしても,事前に確認してもらうことが必要です。⑷ 信託契約書等の作り直し 一旦,信託契約書等を公正証書にした後に,金融機関から信託条項の修正の申し入れがあった場合には,信託の変更の規定に基づき信託条項の変更をするか,場合によっては,信託契約書等を作り直す必要が出てくるケースも34第2章 信託契約書等を作成する際に留意すべき事項
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