第1章 総 論妻3夫3000万円5 負債がある場合 清算的財産分与は,離婚時ないし婚姻関係破綻時に存在する財産を清算する制度であるから,債務を財産分与の対象とするものではないというのが多数説である(『松本』127頁)。 他方で,実務では,夫婦や子どもの共同生活に必要な負債は,夫婦それぞれが連帯して責任を負うことが実質的な公平に資すると考えられている。 そこで,積極財産がある場合には,積極財産形成のために負担した債務,例えば住宅ローン,教育ローン,自動車ローンなどの場合には,これを積極財産から控除することで考慮している。 夫婦の一方がギャンブルのために借り入れた金銭があった場合には,これは夫婦の共同生活に必要な負債ではなく,配偶者が連帯して借金を負うのは不当であるとして考慮しないとしている。6 分与方法 財産分与の対象財産は預貯金だけということは少なく,不動産や自動車など財産をどちらか一方が取得する場合には,分与金額の調整が必要となる。 実務では,最終的な財産分与額を取得できるように調整する方法がとられている。【具体例】 夫婦の双方の名義の財産が下記の表の内容となっていた場合に自動車を妻が取得するときの夫から妻への財産分与金額不動産預貯金生命保険自動車負債300万円200万円50万円-2500万円6 分与方法0円100万円200万円0円0円
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