8_ケ分与
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 財産分与は,経済的協力関係が失われた時を基準とすべきところ,特段の事情がない限りは別居時である。  別居後に資産が減少している場合に財産分与で考慮されるかは,その資産の減少の原因が何であるかが重要である。 そして,本件のように,資産の減少の原因が,子の教育資金として支出したことにある場合には,その支出は財産分与において考慮するのが相当である。 本件では,子の大学の学費として,被告が基準事後に100万円を支出しているのであるから,当該100万円は被告の対象財産から控除することになる。 ※ 本件は,以上の心証を裁判所が開示した結果,和解が成立した。61 争点①について2 争点②について1 財産分与の基準時 古い最高裁判例(最一小判昭34・2・19民集13巻2号174頁)は,「訴訟の最終口頭弁論当時における当事者双方の財産状態を考慮して財産分与の額及び方法を定めるべきものである。」としており,離婚時(口頭弁論終結時)の財産が財産分与の基準時であり,別居後の資産の増減は,「その他一切の事情」(民768条3項)で考慮する事情であるという考えもある。 しかし,現在の裁判実務は,財産分与の基準時を別居時とするのが一般的である。 というのも,(清算的)財産分与は,夫婦の共同生活により形成した財産を,その寄与の度合いに応じて分配することを内容とするものであるから,離婚前に夫婦が別居した場合には,特段の事情がない限り,別居時の財産をケース1 別居後の資産の減少が財産分与において考慮された事例成立内容コメント

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