8_ケ分与
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各自の持分=(1200万円+80万円)×1/2=640万円夫から妻への分与額=1200万円-640万円=560万円各自の持分=(1100万円+80万円)×1/2=590万円夫から妻への分与額=1100万円-590万円=510万円〔竹下 龍之介〕8【計算式】〈原則〉〈修正〉4 妥当性 基準時後の財産の減少であっても,それが,夫婦及び子のための支出といえる場合には,財産分与で考慮すること自体は妥当であろう。財産分与で考慮するということは,当該資産減少に対し,妻と夫が折半して負担を負うということになるところ,それが夫婦及び子のための支出であれば公平に適うためである。 しかしながら,本事例は,夫が年収が約850万円であったのに対し,妻の年収は100万円に満たなかった。そのような年収差がある場合に,子どもの教育費を単純に折半することになる処理が妥当なのかはなお,検討の余地がある。 私見ではあるが,財産分与で考慮するにしても,大学の学費で支出した100万円については,例えば,年収で按分を行い,90万円を夫,10万円を妻の負担とし,妻が原則による計算で算出された560万円から10万円を夫に支払う(すなわち,分与額は,結果的には550万円となる。)という考え方もでき,その方がより公平に適うとも思える。 本件は,結果的に和解で解決した事例であり,裁判所の判断が判決で示されたわけではないが,基準事後の資産減少の考え方として,参考になると思われる。ケース1 別居後の資産の減少が財産分与において考慮された事例

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