等を共有し,研究してきた。そのような中,事例をベースとした財産分与の諸問題についての書籍発刊の企画をいただき,この度,執筆することとなった。 本書の執筆にあたっては,次の3点を基本的なスタンスとした。①法律実務家にとってニーズが高い事例を掲載する 離婚財産分与において,特に調査・評価が問題になりやすい事例やその解決⽅法を掲載した。実務では,判決に至ることは少なく,協議,調停や和解で解決する事案のほうが圧倒的に多い。そのため,公刊されている判例を紹介するだけでは不⼗分であると判断し,弊所離婚事件チームが携わった離婚調停の事案や協議での解決事例も掲載した。なお,弊所の解決事例については,当事者の属性・事件の内容について,論点に影響しない範囲で修正を加えている。②解決のポイントを付加する 事例を紹介するだけではなく,当該事案に対して,弊所離婚事件チームの弁護⼠であればどのように考え,対応するかについてのコメントを記載した。③典型事例から税務問題まで広くカバーする 財産分与に関して,典型的に問題となる調査・評価⽅法から税務問題まで,数多くの事例を掲載し,財産分与に係る多くの争点を網羅できる内容とした。 記述については,法律実務家が参照しやすいように,各事例の冒頭に当該事案の特徴を⽰す簡潔なタイトルを記載した。また,問題の所在等を分かりやすくするために,「争点」又は「ポイント」を記述した。事案の概要については,争点等に関係する事実経過を抽出して記述した。事案の結論として,判例の場合は「裁判所の判断」,調停や協議による解決の場合は「成立内容」を記述した。この結論部分は,争点等に係る結論のみを記述している。また,事案の内容に応じて書式や図表,サンプルを掲載し,法律実務家が活⽤しやすいように配慮した。これにより,本書は,離婚財産分与の問題に直面するiiはしがき
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