不動産鑑定と訴訟実務
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Ⅰ 概観正について」が出され,現行に至っている(平成26年の改正による実務指針は,平成26年11月1日以後に契約を締結する鑑定評価を含む価格等調査業務から適用されることになる。)。ちなみに,国土交通省は不動産鑑定評価基準に加え,当該基準に関する調査や研究成果をいくつも公表している(例えば,「環境不動産等の不動産鑑定評価のあり方の調査」〔平成22年3月〕や「定期借地権及び継続賃料にかかる評価のあり方の調査」〔平成25年3月〕等)。公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会による指針等国土交通省の基準等とは別に,公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会(以下「連合会」という。)が鑑定評価の実務の指針等として公表するものもある。その中には,①「実務指針」(不動産鑑定士が当該業務を行う際には準拠するものとし,準拠できない場合又は他の方法による場合は,その合理的な根拠を明示しなければならないもの。),②「業務指針」(不動産鑑定業者が,不動産鑑定業を営む際には,原則として準拠しなければならないもの。),③「研究報告」(不動産鑑定士にあっては不動産鑑定評価業務を行うに際して,不動産鑑定業者にあっては不動産鑑定業を営むに際して,それぞれ参考になるものとして協会が公表するもの。)等がある。それぞれの定義に従えば,①及び②は,③よりもその規範性は高いことになる。もっとも,いずれもその内容については基本的には合理的なものとして,裁判実務としても有用な指針として機能するものと思われる(特に,配偶者居住権に関する「配偶者居住権等の鑑定評価に関する研究報告」等)。3

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