(試し読み)遺言執行者の職務と遺言執行の要否
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26 第1章 遺言の執行と遺言執行者の選任(総論)⑥  審判の告知裁判例4 東京高決平成9年3月17日(家月49巻9号108頁)裁判例4裁判例4 東京高決平成9年3月17日(家月49巻9号108頁) 東京高決平成9年3月17日(家月49巻9号108頁) 「……本件書面は,その形式及び内容において,自筆証書遺言書の方式に反するところはないのであるから,遺言者の自筆証書遺言書とみることも可能である。しかして,右認定の事実関係に照らし,本件書面が遺言者の自筆証書遺言書として無効なことが一見して明らかであるということはできず,他にその事情を窺わせる資料は存しない。 そうすると,仮に,本件書面について自筆証書遺言書としての効力が争われるとした場合,それは実体的審理をまってはじめて決せられることになる。 このような場合,家庭裁判所としては,本件書面の自筆証書遺言書としての効力につき審判することなく,遺言執行者を選任するのが相当と解すべきである。」ア 認容審判の場合ア 遺言執行者に選任される者に対する告知 審判書謄本を送付して告知する(家事法74条1項)。遺言執行者の職務について説明した書面を同封する取扱いも考えられる。 なお,書記官による送達の方法(家事規則25条,民訴規40条1項)により告知する取扱いもある。これは,遺言執行者に対する審判の告知の日から,相続人は遺産の処分その他遺言の執行を妨げる行為ができない(民1013条)など,遺言執行者の就職の時期を明確にする必要があるとの理由からである。イ 申立人に対する告知 審判書謄本を送付(普通郵便)して告知する(家事法74条1項)。ウ 不服申立て 選任の審判に対しては,不服申立ては許されない(東京高決昭和44年3月14日家月21巻8号87頁)。イ 却下審判の場合 遺言執行者選任の申立てを却下した審判に対しては,申立人その他の利害関係人から即時抗告の申立てをすることができる(家事法214条3号)。 却下審判は,申立人に対する送達の方法により告知する(家事

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