不判例
32/42

12 事案の概要視点要点東京地判令和2. 2. 26/2020WLJPCA02268014住宅を売るにあたって、過去に雨漏りがあったことを買主に言いたくない。買主に説明をしておかないと、売主としては後で責任を問われる?売主は、雨漏り歴を知っていればこのことを買主に説明する義務があり、これを隠して、住戸に雨漏り歴があるのにない旨、事実と異なる説明をしていた場合には、買主に対して、損害賠償義務を負う1買主Xと売主Y(宅建業者)は、平成27年8月9日、マンションの一室(本件マンション)について、代金1200万円で、売買契約を締結した(本件売買契約)。Xは、同月31日に引渡しを受け、その後配偶者とともに居住している。本件マンションは、昭和53年6月に建築されたマンションの一室であり、売買契約前にYが作成しXに交付した物件状況等報告書には、「1.状況」のうち「①雨漏り」の項目に、「ア 現在まで雨漏りを発見していない」に丸印がつけられていた。2しかし、平成27年10月11日、洋室天井から雨漏りが発生した。この雨漏りについては、修繕工事は未了だが、管理組合が管理組合の費用をもって修繕工事を行うことになっている。3ところで、Yは、平成27年6月29日、Eから本件マンションを購入していたのであるが、Eからの購入に先立ってYに交付された物件状況等報告書には、1.状況 「①雨漏り」「イ.過去に雨漏りがあった。」(丸印)、「箇所:リビング」、「修理済」(丸印)、「平成27年4月頃」と記載されていた。すなわち、Yは、Eから、リビングで雨漏りがあったこと(本件雨漏り歴)を伝えられていたが、Yは、このことを隠してXに本件マンションを売却し1節 売主の説明義務売主の雨漏り歴の説明義務

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る