i2の特色)。本書は、不動産の法律実務に携わる専門家が知っておくべき最新の重要判例を紹介し、解説する書籍である。最近5年間(平成29年(2017年)から令和3年(2021年)まで)の100判例を取り上げた。本書では、3つの考え方にそって執筆した(3つの特色)。第1に、実務に役立つ最新判例を解説した(第1の特色)。不動産は、人々の生活や営業の基盤であり、ルールによって実務が運営されなければならないが、法令の条文だけでは多様で複雑な事象に到底対応できない。千差万別の事象に対し、先例に照らしたうえでの法的な判断が求められる。しかし、毎年極めて多くの判例が公表されており、実務家のみなさまが最新判例までフォローすることは難しい。そこで、実務に役立つ重要な最新判例を吟味して選び、紹介した。たとえば、バーチャルオフィスは契約違反か、普通借地権を定期借地権に切り替えられるか、隣接住戸の自殺によって住戸の価値が下がるのか、まちづくり権という権利が認められるかなど、最新のテーマも数多く取り上げている。第2に、図表を多く使い、わかりやすく説明することをこころがけた(第実務を取り扱う専門家にとって、新しい判例の理解は必須だが、たくさんの判例を読み込んで理解することは、多大の時間と労力を要する作業である。執筆にあたっては、図表を用い、簡潔な文章にまとめることによって、専門家のみなさまが、手短に重要判例を知ることができるように工夫した。第3に、最新の法制度との関連性に言及した(第3の特色)。現代社会は、動きが早くしかも大きい。不動産を巡る法制度も、日進月歩で改められている。司法の根幹をなす民法に大きな改正があったことはつとに知られているが、ほかにも不動産実務に関連して、様々な法改正や行政による解釈指針が示されている。判例解説にあたり、執筆時において最新の法改正や解釈指針なども紹介し、できるだけ判例との関係についても検討した。以上の考え方に立ち、100の判例を、売買、賃貸借、管理、そのほか、まえがき
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