事例でわかる 任意後見の実務
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6判断能力が低下(医師の診断書を添付し選任申立て)家庭裁判所の審判で監督人が選任され契約が発効未発効未発効全ての期間を通して効力を生じさせることが可能死亡終了終了死後事務を行うウ 任意後見監督人 任意後見監督人は、契約の当事者ではありません。任意後見契約の登記後、本人の判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所から選任され任意後見人の事務を監督します。その監督の内容を家庭裁判所に定期的に報告することで任意後見人の不正回避を図っています(任意後見法4条、7条)。 裁判所は任意後見監督人を通して任意後見人を監督する必要があるため、裁判所から任意後見監督人が選任されない間は、任意後見契約は発効しません。裁判所は、任意後見監督人を通して間接的に任意後見人をチェックしているともいえるでしょう。 (本編第3章、事例編第4章を参照ください。)(2) 代理権目録 任意後見契約における法定の委任事項は、自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部です。この法定事項のみが任意後見契約の「代理権目録」に記載され登記されます(後見登記等に関する法律(以下「後見登記法」といいます。)5条4号)。 契約自由の原則に基づき、法定の委任事項以外も任意後見受任者に委任できます。そのため任意後見契約書に法定の委任事項以外も記載することが可能です。ただし、事実行為に関する事務などは代理権目録には記載されません。「民法の一部を改正する法律等の施行に伴う公証事務の取扱いについて(平成12年3月13日法務省民一第634号)」参照。第1章 任意後見制度(図表1-2)任意後見とそれに付随する業務本人の状況判断能力がしっかりしている間契約の種類見守り契約財産管理契約(民法上の委任)任意後見契約(公正証書で作成する。要式行為)死後事務契約(民法上の委任)民事信託民法上の委任に基づき見守りや財産管理を行う(筆者作成)

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