(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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1 事実の調査の概要 子の監護者指定・子の引渡し事件等の審理では,通常,審理の進行に応じて家裁調査官による事実の調査が行われる。 審理における手続の透明性を確保するとともに適正な紛争解決に資するためには,適時適切な調査を実施することが必要であり,子の監護者指定・子の引渡し事件等の審理では,通常,「部分調査」命令が発令されている。 家裁調査官は,各調査事項で挙げる項目について相当広範な調査を行うが,列挙する項目の全てについて網羅的に調査を行うわけではない。まずは,当事者同士が対立する争点について具体的な事実関係を明らかにし,その上で当事者が争点にしていなくとも調査で明らかになった判断に影響する要素も加味して,総合的に評価を行うことになるからである。 当事者の主張については,本来,当事者が書面や期日において主張すべきものであるが,家裁調査官の調査の実施に当たっては,調査事項によって濃淡はあるものの,改めてなぜ自身が監護者となることが適当であるのか,なぜ相手に監護を任せることができないのかについて,子どもの視点から事情聴取を通じて整理しながら確認することが多い。 次頁の調査事項一覧は,子の監護者指定・子の引渡し事件等の審理で実施されることの多い部分調査の各調査事項を一覧表に示し,各調査事項と第2章で説明した判断の基礎となる事情との関係を示したものである。なお,調査事項を定めた規定はなく,各裁判所や裁判体によって分類や呼称には差異があることに留意されたい。第5章1 事実の調査の概要 69家裁調査官による事実の調査(各論)

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