(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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5 監護態勢調査⑴ 意 義 監護権の帰趨を判断するに当たっては,過去及び現在の監護状況に加え,監護者となった者が今後どのような監護を予定しているかについての情報も不可欠となる。監護態勢調査は,現在子を監護していない別居親が監護者になった場合の子の監護に関わる事情を把握するため発令されることが多いが,同居親の監護状況に転居や同居家族の変動などが見込まれる場合に発令される場合もある。 多くの場合,計画や見通しについての調査となり,実現可能性や子の適応可能性などの将来予測が必要となる。将来予測に当たっては,子の福祉の観点から監護態勢のリスクや安定性などについて適正な評価が必要であるため,専門的な知見を持つ家裁調査官による調査が必要とされ5 監護態勢調査 83② 調査方法いる場合に子の意向(心情)調査が発令されたときは,子だけを調査対象とすることもある。 調査方法は,面接と観察である。子の年齢が下がるほど言葉でのやり取りで得られる情報の正確性が低くなるため,観察の重要性が高くなる。 子との面接場所としては,家庭訪問と裁判所に大別される。家庭訪問では子の緊張が軽減される一方で同居親の影響が大きくなるなど,それぞれメリットとデメリットがある。家庭訪問を行って家裁調査官が子と顔見知りになり,後日裁判所で具体的な話を聞く手法が多い。 また,家庭訪問での面接は,子の生活圏である同居親宅で行うことが多い。ただし,同居親の影響を除去する必要がある時は,別居親宅で実施することも考えられる。 裁判所での面接場所は,通常の調査室以外に児童室を使用する場合もあり,裁判所によっては壁紙や机や椅子を和やかなものにして子の緊張感を軽減させるとともに,児童室のように玩具類がなく,集中力を確保しやすい子との面接用の児童面接室を準備しているところもある。

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