(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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132 序章 プロローグ先の学校にはいとこのあっくんもいるから心配ないよ,ほら早くして」と急がせた。 浩一は,昼間,玲奈に謝罪のラインを送ったが,既読の表示が出たため,おそらくはこれまでにもよくあったように感情を高ぶらせただけなのだろうと考えた。 しかし,返信がなかったのでもう一度謝るつもりで夕方帰宅したところ,家には誰もいなかった。岳斗のランドルセルも拓斗の保育園バッグもなく,洋服ダンスの衣服がほとんどなくなっているのを見て,玲奈が子どもたちを連れて出て行ってしまったのだと分かり,玲奈に電話をしたが出なかった。 玲奈の実家に電話をかけても出ないため,車で玲奈の実家まで出かけたが,玲奈の父に「君が出て行けと言ったのだろう。帰ってくれ。」と対応してもらえなかった。その足で警察に相談に出向いたが,民事不介入ということで弁護士に相談するよう助言されただけで力にはなってもらえなかった。 帰宅後,両親に相談したところ,懇意にしている取引先の社長から坂木法律事務所という事務所の対応が良かったと聞いたことがあるとのことだったため,ホームページで連絡先を確認し相談してみることにしたのだった。

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