(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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Scene 8 子の監護の現状調査の発令(第1回期日) 205Q 第1回審判期日ではどのようなことが行われるのでしょうか。またその意義はどのようなものでしょうか。321 争点整理と審理の方向性 本ケースでは,第1回審判期日までに申立書,答弁書,子の監護に関する陳述書が提出されています。これらの書証が審判期日前に揃っていることで,適切な争点整理が可能となって,審理の方向性を定めることができました。 本件審理にとって重要なこれまでの子の監護に関する実情については,それぞれが提出した子の監護に関する陳述書に対する反論を提出させることでさらに争点を絞り込むことになりました。 夫婦関係に関しての反対当事者への不満,非難等については,別途夫婦関係調整(離婚)調停,婚姻費用分担調停を申し立て,その中で話し合われることになりました。 そして,次回審判期日までの間に家裁調査官による調査が行われることも決まりました。2 子の監護の現状調査が行われる意味 子の監護者指定及び子の引渡し並びに保全処分を求める申立人の多くは,申立て時点で子どもとの別居を余儀なくされています。子どもを連れ出して別居した相手方が住所の非開示を強く求めている事案も少なくなく,子どもがどこで誰と生活しているのかさえ把握できていない申立人も少なくありません。本ケースの浩一さんも別居先である玲奈さんの実家を訪ねましたが,子どもには会わせてもらえず,子どもたちの生活状況や心身の状況について情報がない状況です。 子の監護に関する保全処分の要件としては,保全の必要性と本案認容の蓋然性が求められますが,申立人の多くが,保全の必要性を疎明できない状況に置かれているのが実情です。 そこで,通常,保全処分の審理の早い段階で事実の調査(ほとんどの場合は子どもの発達等の行動科学の専門性と家庭訪問や関係機関への出張調査を行う機動性を併せ持つ家裁調査官による事実の調査)が行われます。その場合,保全処分の要件である保全の必要性の存否確認を目的とし,かつ短期間で調査を終了させるため,子どもの現在の生活状況等に調査の範囲を絞り込んだ調査となるのが一般的です。

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