ネト請
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1改訂にあたり 本書を2021年に刊行し,はや2年。この間,インターネットの誹謗中傷問題をめぐっては,日々さまざまな事件があり,報道もされてきました。国会でも対策が議論され,2022年10月,改正プロバイダ責任制限法が施行されました。 改正法の柱は発信者情報開示命令事件の創設とログイン時IPアドレスへの対応です。発信者情報開示命令事件は,従前IPアドレスの開示請求と住所氏名の開示請求とで別々に実施されていた手続をまとめ,一体的に審理できるようにしたものです。これにより,IPアドレスやWHOISといった技術的知識に不安のある人でも,発信者情報を開示請求しやすくなりました。ログイン時IPアドレスの取扱いについては,従前の裁判例を前提として,要件が明確化されています。 しかしながら,新制度は総務省の宣伝ほど取扱いの易しいものではありませんでした。条文の構造が複雑であり,どのような申立により一体的な審理となるのか,また,何を主張すればログイン時IPアドレスを開示請求できるのかが少々分かりにくい状況でした。完全な理解には,施行規則の読み込みも必要です。 そこで,私は改正法の施行前,誰でも簡単に新制度が使えるよう,申立書のテンプレート作りに着手しました。施行後は東京地裁9部の裁判官からアドバイスを受けつつ,実用に耐えるものを目指し作り込みました。現在,私の公開している申立書テンプレートは,多くの人たちに利用いただいていると自負します。 当初,本書は弁護士向け入門書として企画,執筆しました。ところが刊行してみると,法律家ではない多くの人たちが,ご自身の問題解決のため本書を手に取っていると知りました。法律用語の説明は割愛していましたので,分かりにくかったのではないかと申し訳ない気持ちです。そこで改訂版では,なるべく法律家以外にも理解しやすいよう意識し執筆していま改訂にあたり

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