ネト請
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3まえがき インターネットの発達により生活はとても便利になりました。その反面,問題も表面化してきました。インターネットでの誹謗中傷はその1つです。被害者の多くは心に傷を負い,なんとかしたい,平穏だったあの頃に戻りたいと切望し,弁護士のもとを訪れます。彼らはたいてい,自分を苦しめる情報の削除や投稿者の特定を望んでいます。「見なければ良い」とのアドバイスでは納得してもらえません。被害者は,自分が見て苦しいというだけでなく,知人に見られること,見られるかもしれないと思うことにも苦しみを感じています。 もっとも,インターネットでの誹謗中傷対応には,①海外法人に対する仮処分・訴訟が必要となるケースが多いこと,②削除請求や人格権侵害に関する実体法がなく判例中心の実務であること,③インターネットやデジタル情報に関する技術的知識が必要となることから,話はそれほど簡単ではありません。相談を受けてから研究していたのでは,特に発信者情報開示請求ではタイムリミットに間に合わないことさえあります。 にもかかわらず,削除請求・発信者情報開示請求の入門書・解説書は少なく,実務を前提に書かれているものとなると,とても限られているのが現状です。 私はといえば,削除請求・発信者情報開示請求の事件を取扱い始めたころからブログで情報を発信し,2015年からは専用のサイト(https://kandato.jp/)を作り情報発信してきました。大変ありがたいことに,少なくない弁護士や裁判官から,ブログの情報を参考にしているとの声をいただいています。今回,出版の機会をいただいたことから,これまで書いた記事を整理するとともに体系的に加筆し,私の十余年にわたる経験の集大成として,本書を刊行することとしました。 本書は,パソコン入門書の執筆に携わった前職での経験を活かし,見開き完結スタイルを採用しました。どこに何が書かれているのか認識しやすく,体系的に理解しやすくなっていると思います。また,削除請求・発信者情報開示請求で使う書式や資料の充実をはかり,すぐに実務で使えるこまえがき

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