リモート
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第1章 労働問題84イ 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合 出勤して事業場内にいる場合,事業主の支配・管理下にありますが,休憩中や始業前・終業後は業務に従事していないので,事業場施設の不備・欠陥によるものでなければ,業務起因性が認められません(例えば,スポーツ活動による負傷)。ウ 事業主の支配下にあるが,管理下を離れて業務に従事している場合 事業場外で労働しているときや出張中の災害については,事業主の管理下を離れてはいるものの,労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているといえ,事業主の支配下にあることになります。ただし,積極的な私的行為による災害は業務起因性がないこととなり,業務災害と認められません。⑵ リモートワークにおける業務災害ア リモートワークにおける「業務遂行性」と「業務起因性」 リモートワークを前記⑴アないしウの類型に沿って検討すると,前記⑴ウの類型,「事業主の支配下にあるが,管理下を離れて業務に従事している場合」に該当します。したがって,業務に従事している場所はどこであれ,積極的な私的行為による災害でない限り,業務災害が認められます。イ 質問の検討 質問のケースでは,従業員がリモートワークで,自宅で勤務していたところ,業務時間中にトイレのために椅子から立った際,足を滑らせて転倒し,足の骨を折ってしまったということなので,業務行為そのものには該当しないと思われます。ただし,トイレに立つ行為は,生理的行為として業務に付随する行為であり,また,積極的な私的行為による災害とは認められないので,業務起因性も認められ,業務災害として認められると考えられます。ウ リモートワークにおける私的行為 リモートワークにおける業務災害は,上記のとおり,「事業主の支配下にあるが,管理下を離れて業務に従事している場合」(前記⑴ウ)に該当することになりますので,積極的な私的行為による災害に当たるかどうかがポイントになってきます。リモートワークにおける積極

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