3 通勤災害について⑴ 通勤災害とは第1章 労働問題86いと思われます。さらに,在宅勤務の場合は就業場所を自宅に限るとしておくことや(在宅勤務の前提として就業規則等であらかじめ特定されていると思われる。),モバイル勤務ではその日就業する場所や,従事する業務内容を労働者から報告してもらい就業場所を特定することができ,これらによって就業場所を基に業務と私的行為とを区別することが可能となると考えられます。 通勤によって労働者が被った傷病等を通勤災害といいます(労災保険法7条1項3号)。通勤災害が認められるためには,就業に関し,住居と就業場所との間の往復等を合理的な経路及び方法で行うことをいい,業務の性質を有するものを除くとされています(同条2項2号)。そして,移動の経路を逸脱し,又は中断した場合には,当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」となりません。ただし,当該逸脱又は中断が,次の場合の行為で最小限度のものである場合には,例外的に「逸脱」及び「中断」に当たりません(労災保険法7条3項,労災保険規則8条)。① 日用品の購入その他これに準ずる行為② 職業能力開発のための受講③ 選挙権の行使④ 病院での診察⑤ 一定の近親者の介護⑵ リモートワークにおける通勤災害 リモートワークのうち,在宅勤務の場合には,住居と就業場所とが同じであり,通勤災害は生じませんが,サテライトオフィス勤務では,住居から就業場所への移動があるため,移動中の経路と移動手段が合理的であれば通勤災害として認められると考えられます。 また,モバイル勤務では,その日就業する場所や,従事する業務内容を労働者から報告してもらい移動先(就業場所)が特定できるので,通勤災害が認められる場合も考えられます。
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