1 職場における ハラスメントを取り巻く状況 職場におけるハラスメントは,働く人の個人の尊厳を不当に傷つける行為であり,働く人が能力を十分に発揮することの妨げになる行為です。また,職場においてハラスメントが起これば,企業の法的責任が問われたり,社会的非難を受けたりして企業のレピュテーションリスクにもなります。職場のハラスメントを巡っては,男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法の改正により, セクシャルハラスメント等の防止対策の強化が,労働施策総合推進法の改正により, パワーハラスメント防止対策の法制化が図られ,事業主には,職場におけるハラスメント防止が義務づけられました(2020年6月1日より施行(大企業では2019年6月より義務化,中小企業では2021年4月1日より義務化))。122)第1章8720 ハラスメント122)職場のハラスメントに関して,厚生労働省のハラスメントに関するサイト「あかるい職場応援団」が事例とともに変わりやすく解説をしているhttps://www.no-harassment.mhlw.go.jp/introduction解説 急ぎの案件で勤務時間内に連絡をしても毎回,チャットの返信が2〜3時間後になる在宅勤務の部下に「チャットには直ぐに返事をしなさい。サボっているんじゃないだろうね?」とチャットを送りました。ところが,部下から「それってパワハラです」と言われました。部下を注意しただけなのですが,パワハラに当たるのでしょうか。 なかなか返事がないことに対して,「チャットには直ぐに返事をしなさい」と単に注意するのはパワーハラスメントには当たりませんが,「サボっているんじゃないだろうね?」との言葉は,注意する上で必要な指摘ではなく,それを言われた従業員は不快に感じていることから,パワーハラスメントに当たる可能性があります。20 ハラスメント20 ハラスメント20 ハラスメント20
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