123(2) 私法上の効果について この説明義務は,あくまで公法上の義務であるため,この違反により直ちに,私法上の効果が発生するものとは思われません。もっとも,施行通達26頁で以下のように言及があるため,パート・有期法8条違反に関する請求(損害賠償請求)に関連することが考えられます。その言及とは,パート・有期法14条2項に基づく待遇の相違の内容及びその理由に関する説明については,「労使交渉の前提となりうるものであり,事業主が十分な説明をせず,その後の労使交渉においても十分な話し合いがなされず,労使間で紛争となる場合があると考えられる。『その他の事情』に労使交渉の経緯が含まれると解されることを考えると,このように待遇の相違の内容等について十分な説明をしなかったと認められる場合には,その事実も『その他の事情』に含まれ,不合理性を基礎付ける事情として考慮されうると考えられるものであること。」というものです。3 パート・有期法14条1項に基づく待遇説明義務(1) 説明内容 パート・有期法14条1項では,同法8条から13条までの規定(努力義務である同法10条及び11条2項の規定も含みます。)により措置を講ずべきこととされている事項に関し講ずることとしている措置の内容について,速やかに,短時間・有期雇用労働者に対して,説明する必要があることが定められています。なお,有期雇用労働者については,事業主は,労働契約を更新する都度,上記説明義務を履行する必要があります。 パート・有期法8条については,雇い入れる短時間・有期雇用労働者との関係で,「通常の労働者の待遇との間で不合理な相違を設けていない旨」を,同法9条については,「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者の要件に該当する場合,通常の労働者との差別的な取扱いをしない旨」を,同法10条については,「職務の内容,職務の成果等のうちどの要素を勘案した賃金制度となっているか」を,同法11条については,「どのような教育訓練が実施されるか」を,同法12条については,「どのような福利厚生施設を利
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