第1編でも述べましたが,同一労働同一賃金の原則は,労契法旧20条の施行(2013(平成25)年4月)の相当以前から,短時間・有期雇用労働者の一部より無期雇用労働者との待遇均衡につき主張され,その主張も司法判断において一部認められてきました(丸子警報器事件[長野地上田支判平成8・3・15労判690号32頁])。その後,2012(平成24)年8月に労契法旧20条により同一労働同一賃金の原則が初めて成文法となりましたが,2020(令和2)年4月1日より施行のパート・有期法は,同一労働同一賃金の原則を取り入れた上記労契法旧20条を基盤としつつ,それを補修・強化する形で,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の労働条件の待遇差について規制したものです。 労契法旧20条制定以前→労契法旧20条→パート・有期法の各法制度の内容の変遷については,その詳細は,第1編第1章等に譲りますが,労契法旧20条より現行のパート・有期法への改正については,特に重要と考えられる点を意識して改正がなされていると解されます。すなわち,その改正部分を重視しつつ,改正法を十分に理解することが,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の労働条件の待遇差について合理的に説明する上で必須なものと考えられます。その具体的内容を第2で後述することとします。第1章160 同一労働同一賃金の原則について,問題となる通常の労働者と短時間・有第1第2法改正の重要性問題となる労働条件の広がりはじめに
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