同一賃金
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161期雇用労働者との待遇差の種別について,簡単にここで触れると,従来は,多くは,賃金上における待遇差を問題とし,その待遇差にかかる差額の支払を請求するものでしたが,近年,賃金上の待遇差のみならず,休暇(特に夏季休暇と年末年始休暇,すなわちお盆と正月の休み)や,休職(特に,私傷病を原因とする解雇を猶予する制度である私傷病休職)についての待遇差を問題とし,係争となる事案が増えています。これは,従前,賃金面での待遇差と比較しても,それ以外の労働条件(休暇,休職)には,より,労働者個人と当該企業との契約関係による身分的つながり(長期的な雇用関係を前提としているか否か)の相違により待遇差が存在してもやむを得ないものと是認する社会的コンセンサスが存在していたところ,近年,非正規雇用者の増加及びその待遇の社会問題化によって,上記の社会的コンセンサスが崩れていたことも一因でしょうが,並んで,労契法旧20条の制定により,賃金面以外の待遇差も規制されるようになったこと自体(いわば,無期雇用労働者と有期雇用労働者との格差を是正しようとする法政策)も大きいと思われます(その意味で,労契法旧20条は,その立法の目的を十分に果たしたと言えます。)。有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が,期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約内容である労働条件と相違する場合においては,当該労働条件の相違は,労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。),当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して,不合理と認められるものであってはならない。とされています。第31 総論的な分析(条文文言の理解より) 労契法旧20条の条文は,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との待遇差に関する合理的な説明の内容(概論)

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