第2章167第11 基本給の性格の複合性 労働者が受領する賃金についての原則の中には,毎月1回以上一定期日払の原則がありますが,臨時に支払われる賃金,賞与その他これに準ずるものであって厚生労働省令に定める賃金はこの限りでないとされています(労基法24条2項)。したがって,毎月支払われる賃金は,労働者の受領する賃金の中心をなすものですが,特に,基本給は,その名称のとおり,まさにその「基本」的な部分を形成するものであるのが一般的です。 しかし,基本給と一口にいっても,各企業によって,その性質,もっといえば金額の算出方法・基準は,千差万別です。基本給は実務上,通常は定額ですが,学歴,年齢及び勤続年数によって定まる「年齢給」,当該企業における職務遂行能力の種別(職能資格)とその中でのランクによって定まる「職能給」,当該企業の中において担当する職務内容のランクによって定まる「職務給」,役職や職責のランクによって定まる「役割・職責給」,一定期間においてどの程度の成果を上げたかによって定まる「成果・業績給」といった複数の要素の幾つかを併せ持つことが多くあります。より具体的にいえば,一口に基本給といっても,その金額は,それこそ年齢だけで自動的に上昇するシステムとなっている企業もあれば,職務能力や役職のランクが向上しなければ賃金が向上しない企業,さらには,能力によって上がる部分と職務能力や役職のランクにより上下する部分とが融合したシステムとなっている企業もあります。基本給の性格の理解とその重要性基本給
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