同一賃金
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168 前述第1のとおり,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の待遇差の合理的な説明において,特に基本給の場合にはその複合的な性質を把握して行うことが重要ですが,それとともに,他の労働条件の待遇差の場合と同様に,パート・有期法8条所定の3要素を的確に勘案して行うことが必須であることはいうまでもありません。すなわち,①職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)②当該職務の内容及び配置の変更の範囲③その他の事情のうち,基本給の性質,目的に照らして適切と認められるものを考慮して,問題となる待遇差が不合理ではないという合理的な説明を行う必要があります。具体的には,上記の①ないし③に関連する事実関係や事情すべてが,待2 基本給の待遇差の説明における基本給の性質の理解の重要性 上述のような,当該企業の基本給の性質等(砕いていえば,どのような要素がどのように考慮されて基本給の金額が決定しているのか)の考慮は,無期かつ所定労働時間の通常の労働者と,短時間・有期雇用労働者の基本給における待遇差を合理的に説明するにおいて,決定的に重要です。なぜなら,当該企業における基本給の性質を的確に理解しなければ,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の各々の基本給がどのように決定されるのかを理解できず,それが理解できなければ,両者間の待遇差がなぜ生じているか自体を具体的に説明することができず,待遇差の合理性以前の段階で,説明が止まってしまうからです。 また,実務的に見ても,他の賃金項目(特に各種手当)と比較して,基本給は,前述1のように複合的な要素から構成されていることが多く,実のところ,「しっかりと金額の変化の根拠を検証しながら考えてみないとすぐには理解できない」という特性を持っており,その性質の理解には相応の考察が必要です。第2基本給の待遇差の説明の仕方の一般論

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