同一賃金
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169遇差の合理的な説明に有用・必要ということではなく,前述第1の基本給の性質・目的に関連性のある事実関係や事情をもとに,待遇差についての説明を構成する必要があるのです(その意味でも,前述第1の2のとおり,当該企業の基本給の性質等の考慮が,待遇差の合理的説明の前提となるのです。)。 後述第3において,当該企業の基本給の性質・目的に照らし,上記①ないし③の事実関係・事情がどのように考慮されて,無期雇用労働者と有期雇用労働者の待遇差の説明を合理づけることになるのか(あるいはならないのか)につき,具体例を挙げて検討することとします。 基本給について,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との基本給の制度内容が同一でありつつ待遇差がある場合の,その待遇差の合理性については,ガイドラインが,基本給の性質・目的を類型化しつつ,かなり詳細に規定しています。したがって,まずは,このガイドラインが参考となります。第31 基本給であって,労働者の能力又は経験に応じて支給するものの場合 基本給が労働者の能力や経験に応じて支給される場合,通常の労働者と同一の能力又は経験を有する短時間・有期雇用労働者には,能力又は経験に応じた部分につき,通常の労働者と同一の基本給を支給しなければならず,また,能力又は経験に一定の相違がある場合においては,その相違に応じた基本給を支給しなければならない,とされています。この場合,基本給の一部でも能力又は経験に応じた部分があれば,その部分については,能力又は経験を考慮した基本給与を支給しなければならない,ということです。 ガイドラインでは,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との待遇差に問題がある例として,両者間の経験差によって基本給の待遇差がある場合に,通常の労働者の経験が当該労働者の現在の業務に関連性が無い場合が挙げら通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の基本給の制度が同一の場合

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