1 旧法の規律 旧法では,相続開始から長期間経過した場合でも,特別受益や寄与分の規定の適用が制限されることはありませんでした。2 改正法の規律――特別受益と寄与分の期間制限⑴ 原則――相続開始から10年経過後は特別受益・寄与分はなし 改正法では,相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割に,原則として特別受益(民法903条及び904条)及び寄与分(民法904条の2)の規定が適用されないこととされました(改正後民法904条の3柱書)。 特別受益や寄与分の規定が適用されないとは,具体的相続分による分割を求める利益が失われるという実体法上の効果が生じることを意味しています(部会資料51・20頁)。そのため,期間経過後に具体的相続分による分割を求める利益について不当利得返還請求等を認めることは想定されていません(部会資料51・20頁参照)。 その結果,相続開始から10年の期間経過した後は,相続人は,各相続人を経過した後にする遺産分割について,原則として特別受益及び寄与分の規定が適用されないこととされました。なお,10年経過前に調停を申し立てた場合ややむを得ない事由がある場合の例外があります。199第4 3.遺産分割に関する規律の見直し 具体的相続分の期間制限に関して新たに設けられた規律は,どのようなものですか。A. 改正法では,遺産分割を促進するために,相続開始時から10年3.遺産分割に関する規律の見直しQ61解 説
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