Q民不
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の法定相続分(指定相続分がある場合にあっては,指定相続分)を前提に遺産分割を行うことになります(中間試案補足説明128頁)。 なお,この規律に関しては,相続事件に関する実務に大きな影響があると考えられますが,この点については,Q90を参照してください。⑵ 厳格な2つの例外ア 概 要 もっとも,次の①又は②のいずれかに該当する場合は,相続開始から10年を経過した後であっても,特別受益及び寄与分の規定の適用を受けることができます(改正後民法904条の3柱書但書)。①相続開始の時から10年を経過する前に,相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき。②相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6か月以内の間に,遺産分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において,その事由が消滅した時から6か月を経過する前に,当該相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき。イ 「やむを得ない事由」の意義 ②における「やむを得ない事由」とは,客観的な事情からして,相続人において遺産分割の申立てをすることを期待することがおよそできない場合をいうと考えられ,基本的には容易に認められないものと考えられます(部会資料31・24頁参照)。 例えば,遺産分割を禁止する合意があり,期間内に遺産分割が法的に実施できない場合等がこれに該当すると考えられます(部会資料42・7頁参照)。もっとも,必ずしもこういった法律上の障害がある場合に限られるわけではありません(部会資料51・21頁)。例えば,被相続人の生死が不明な状態であり,被相続人が死亡したことをおよそ知ることができない状況にあった場合(部会資料31・24頁)や相続開始から10年を経過する直前に遺産分割調停等の申立てが取り下げられた場合21)もこれに該当すると考えら200第2章 改正法の要点解説21)この場合,他の相続人がそのことを知らないまま申立ての取下げの効力が生じ,改めて期間内に申立てをする時間もなく,具体的相続分による遺産分割が実質的に制限されるという不当な結果を招くからです(部会資料42・8頁参照)。

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