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i推薦の言葉 令和3年4月,国会にて「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立しました。民法・不動産登記法の見直しと,相続土地の国庫帰属を可能とする制度の創設を行ったこれらの法律は,今後,国民生活に大きな影響を与えると予想されます。 本書は,この大改正について,その全体像,内容,そして実務への影響を,平易かつ多面的に論じるものです。 今般の法改正の大きな契機となったのが,所有者不明土地問題でした。不動産登記簿等の所有者台帳により,所有者が直ちに判明しない,又は判明しても連絡がつかない土地が,震災復興をはじめ公共事業や空き家対策等,様々な場面で足かせとなっている問題を受け,政府は平成30年1月に関係閣僚会議を設置し,解決に向けた制度見直しに取り組んできました。 この度の法改正は,その一環として,相続登記等の申請の義務付けをはじめ,共有制度や相続制度の見直し,新たな財産管理制度の創設等,民事基本法制の抜本的な見直しを行うものであり,政府による一連の取り組みの最大の山場といえます。 本書の著者である荒井達也弁護士は,この所有者不明土地問題に早くから現場で取り組むとともに,日本弁護士連合会の所有者不明土地問題等に関するワーキンググループの幹事として,今般の改正議論をつぶさに分析してきました。 本書の冒頭で荒井弁護士は,今回の改正について,法律実務家の立場から本質的な指摘をしています。それは,所有者不明土地問題が法律実務家の方々にとってマイナーな分野である一方で,今般の改正は所有者不明土地だけでなく,所有者が判明している通常の場合や,建物,動産その他の財産権にも適用されうる規律を多く含むものであり,今後,幅広い分野に実務上の影響が及ぶということです。 この問題意識のもと,本書は,所有者不明土地問題を取り扱わない実務推薦の言葉

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