裁実理
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序1序 本書の編成と各章の紹介 本書を手に取ってご覧いただいている皆さんに,まず,本書の構成と各章の概要やその意図するものについて,私なりに簡単な紹介を試みたい。 本書は,第1編から第3編までの3編で編成することとした。第1編は,家事事件手続法の施行によって家事実務にどのような変化がもたらされたかという点について,施行から8年が経過した現段階で振り返り,これまでの文献では紹介されていなかったと思われる点,一般には気付かれづらいと思われる点にもスポットライトを当てて紹介するとともに,これによってもたらされたと思われる理論上の問題についても考察しようとするものである。 第2編は,家事事件手続法の施行自体による直接的な変化ではないが,家事実務に見られる様々な動きについて紹介し,家事実務のダイナミックな動きとこれを支える理論を知っていただきたいという企画である。家事事件は,家族をめぐる社会状況,国民の法意識の変化に応じて大きく動いている。近時の立法の動きも目まぐるしく,多くの分野で既存の法律,制度が改正されているばかりか,これに加えて,最高裁の裁判例も多く出されている。そこで,第一線の家事実務を担当するベテランから若手までの幅広い層の裁判官に,執筆をお願いした。 第3編は,少し目を将来に向け,家事事件の運用についての提言のような内容を含んだ論稿を集めた。現状の家事実務の問題点を把握し,改革すべき点が少しでも見付かれば,改善を目指して継続的に動かなければ,運用の改革は期待できない。そのような熱い思いを持つ裁判官に,近い将来の展望を含めて語ってもらった。甲 斐 哲 彦本書の編成と各章の紹介

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