て3第2編 家事事件手続法後の家事実務の潮流序 本書の編成と各章の紹介第3章 実践・調停に代わる審判 調停に代わる審判の対象事件は,家事審判法下では,夫婦関係調整等の一般調停事件に限定されていたが,家事事件手続法によって,特殊調停事件を除くすべての調停事件が対象とされた。そして,今では,調停に代わる審判の利用は格段に広がりを見せ,調停に代わる審判の制度は,家事調停にとって,なくてはならない選択肢としての地位を確立したと言って良い。 本章を執筆していただいた那波郁香裁判官は,東京家裁で調停に代わる審判の活用に熱心に取り組んでいた若手裁判官である。那波裁判官は,これまで実務家の論文で紹介されていた,合意型,欠席型,不一致型という3つの活用類型は,調停の経過や当事者の意向などにより,最終的に調停に代わる裁判が選択されたという,いわば家事調停の結果に基づく整理にすぎないと鋭く指摘した。そして,調停に代わる審判を選択するかどうかの見極め,調停の初期,中期,終期の各段階において調停委員会として考えるべきことを,経験に基づいて具体的に論じ,それぞれの場面での当事者に対する説明等の対応や審判書の記載事項についても紹介してくれており,極めて多数の調停事件を担当していた裁判官ならではの,現場の息遣いが伝わってくる論稿となっている。 この論稿の副次的効果といえようが,読者は,裁判官が単なる判断者というだけでなく,調停手続全体をどのように指揮(コントロール)しているかを実感することができるであろうし,新たな視点からの調停に代わる審判の制度運用について目を見開かせられるであろう。第4章 札幌家裁における親ガイダンス(子どもを考えるプログラム)につい 近年,家事実務では,両親の離婚紛争の渦中にある子が苦境に立たされている状況を何とか改善したいとして,親ガイダンスなどと称して,子を
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