裁実理
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11第18章  委員会調停と単独調停〜合意に相当する審判対象事件を中心とした単独調停についての試論序 本書の編成と各章の紹介 家事調停における調停機関については,調停委員を選任して調停委員会によって行う調停(委員会調停)が,大原則として堅持されており,裁判官のみで行う単独調停は,極めて例外的な取扱いであった。この取扱い自体は,家事審判法下から家事事件手続法施行後に至っても,変わっていない。 ところで,この大原則のよって立つ前提は,通常の家事調停事件については,豊富な知識経験を有し,人格識見の高い社会人の中から任命された調停委員が加わった調停委員会によって調停手続を進めるのが相当な事件が多いという理解であったはずである。本稿は,多種多様な家事調停事件の中には,そうではない類型のものも含まれているのではないかという視点に基づいて,合意に相当する審判の対象事件に関する家事事件手続法の改正を中心として考察したものである。これまでこの点についてまとめて論及した文献はなかったと思われ,家事調停実務に一石を投じるものとなれば幸いである。

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