裁実理
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第1章1 はじめに151 はじめに1)金子修「家事事件手続法の意義と課題」講座上32頁2)秋武6頁,13頁⑴ 家事審判法から家事事件手続法へ 家事審判法は,戦後間もない時期である昭和23年1月,改正民法(第4編親族及び第5編相続について全面改正された。)とともに施行された。翌24年1月には,家事審判所と少年審判所の組織を合わせて家庭裁判所が誕生しているので,その1年前の時期ということになる。家事審判法は,その後,60年以上もの長い間,抜本的な改正が行われることがなかったが,司法制度改革に引き続く司法関係の各種法律の改正作業の仕上げともいうべきものとして,非訟事件手続法と家事審判法の改正が法制審議会で審議され,平成23年,家事事件手続法が成立し,1)平成25年1月から施行された。2)⑵ 家事事件手続法の制定 家事事件手続法の法案の提案趣旨は,「現行の家事審判法は,…手続法として備えるべき基本的な事項や当事者の手続保障に関する規定が十分とは言えないものとなっておりますが,この間の社会の著しい変化に伴い,家族を巡る事件も複雑化,多様化しており,現在の社会の状況に適合していない部分が生じております。…そこで,…家事審判及び家事調停の手続を国民にとって利用しやすく,現代社会の要請に合致した内容のものにするため,新たな家事事件手続法を制定し,家事事件の手続の改善を図ろう甲 斐 哲 彦家事事件手続法の立法による 調停の基本構造への波及

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