第2章 家庭裁判所調査官の調査報告書の開示と調停手続58当該事案に最適な,当該当事者が最も理解しやすい表現を心掛けることによって,当事者が主体的に子の利益を第一に考える一助となることを目指すべきであろう。調査官調査への過程での裁判官及び調停委員も同様である。⑶ まとめ 人事訴訟・家事事件における調査報告書の原則開示は,調査官調査,裁判官の審理や調停委員会の調停運営に一定の難しさを与えた半面,可能性を広げた。家裁調査官,裁判官及び調停委員は,調査官調査に対する当事者の批判に正面から向き合い,それに応え,よりよい調査,審理及び調停運営に努め,手続的正義にかない,当事者の納得を得て,実体的真実に合致する調査及び人事訴訟・家事事件を実現し,子の利益の実現を目指さなければならない。 特に,家事調停についていえば,このような当事者への開示を原則とした調査官調査,調査報告書及び調停運営は,職権探知主義に当事者の手続保障を加味した家事事件手続法下における,当事者の主体的な合意を目指す家事調停にふさわしいものと考えられる。
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