裁実理
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第5章1 はじめに1011 はじめに1)細矢郁・進藤千絵ほか「面会交流が争点となる調停事件の実情及び審理の在り方」家月64巻7号1頁以下(2012年) 筆者は,平成21年4月から平成24年3月まで東京家庭裁判所(以下「東京家裁」という。)において勤務したが,その間,平成23年5月,民法766条に,離婚後の子の監護に関する事項として,面会交流や養育費が明示され,これらを定めるに当たっては子の利益を最も優先して考慮すべきことが明記される法改正があり(民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号)),平成24年4月1日,施行された。筆者は,当時,東京家裁において運営されていた面会交流が争点となる調停事件(以下「面会交流調停事件」という。)の実情及び審理の在り方を紹介する論考を他の裁判官1名及び家裁調査官2名と共に執筆した(以下「平成24年論考」という。)。1)平成24年論考は,同年7月,「家庭裁判月報」に掲載されたが,筆者は,その時点では,既に東京家裁を離れていたことから,その後,平成30年8月に2度目の東京家裁における勤務の機会を得るまで,その間の東京家裁における面会交流調停事件の運営の実情等を正確に把握しているわけではない。 東京家裁においては,同年11月,面会交流調停事件の増加及び複雑・困難化を受けて面会交流調停事件の運営方針について検討するためのプロ細 矢 郁運営及び新たな運営モデルについて家事事件手続法施行後の 面会交流調停事件の

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