第8章1 はじめに1691 はじめに1)司法研究報告書第70輯第2号2)判タ1111号285頁(2003年),1114号3頁(2003年)⑴ 標準算定方式・算定表改定の経緯 東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所の裁判官4人を研究員とする平成30年度司法研究「養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究」の研究報告が,令和元年12月23日に,司法研修所から公表された。1) この公表以前においては,周知のように,平成15年に三代川俊一郎ほか「簡易迅速な養育費等の算定を目指して─養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」(以下,この提案による算定方式及び算定表を併せて「標準算定方式・算定表」といい,算定方式又は算定表のみを指すときは「標準算定方式」又は「標準算定表」という。)2)が発表され,簡易迅速に合理的な養育費・婚姻費用を算定するものとして,瞬く間に家事実務に広まって完全に定着し,「最も成功した家事実務」と評されていた。その発表以来15年以上が経過したことを受けて,社会実態の変化等もあり,その内容に改良すべき点がないかを検討する必要があることも指摘されていたことから,統計資料や制度等を更新するなどして,より一層社会実態を反映したものにすること等を目的に今回の研究報告がなされたものである。清 水 克 久養育費,婚姻費用の算定に関する 標準算定方式・算定表の改定と そのフォローアップ
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