裁実理
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第11章1 はじめに2251 はじめに1)新受件数・平均審理期間の統計については,平成22年以降分につき『人事訴訟事件の概況─平成31年1月~令和元年12月─』(裁判所ウェブサイト掲載)5頁,それ以前の分につき迅速検証(第6回・平成27年7月10日公表分)179頁等を参照した。⑴ 本稿執筆の背景 人事訴訟が平成16年に家庭裁判所に移管されて以降,その新受件数は当初おおむね横這い状態が続いたものの,平成24年の11,409件をピークに近年減少傾向にあり,令和元年には9,042件となっている。しかし,平均審理期間は,ほぼ一貫して上昇傾向にあり,令和元年の平均審理期間は13.2か月と,10年前の平成21年との対比で2.7か月増加しており,人事訴訟の約9割を占める離婚訴訟の審理期間が長期化傾向にあることを示している。1) 離婚訴訟の審理長期化の原因としては,・財産分与の申立てがある離婚訴訟の増加(平成30年は35.9%と,平成21年・財産分与の審理の難航化(財産分与の申立てがある事件の平成30年の平均審理期間は,判決で終局したものが20.2か月(平成21年は16.1か月),和解で終局し・離婚原因について事案の結論に結び付かない周辺事情に係る主張の応酬が繰り返されがちであることとの対比で7.7%増加している。)たものが15.7か月(平成21年は12.3か月)となっている。)橋 詰 英 輔迅速な審理に向けた一考察離婚訴訟の計画的・

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