適用に関する通則法38条2項に基づいて常居所地法の日本法を準拠法として適用し,特別養子縁組を許可した事例であるが,子の国籍・無国籍認定については,国内法における無国籍等の定義がされていないこと等を含め,その認定について検討を要することが指摘されている。令和元年改正における上限年齢の引上げや,民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律の施行により,こうした申立てが増加することも予想され,今後の対応が注目される。⑵ 手続法上の諸問題ア 手続の併合 第1段階の審理手続と第2段階の審理手続について,併合して審理を進めるべきか否かの問題がある。 両手続において,養子となるべき者の父母は,第1段階の審理手続では,利害関係参加ができ,「審判を受ける者」に該当することから,74)確認の審判を告知しなければならないが(家事事件手続法74条1項,164条の2第9項),第2段階の審判手続では,参加ができず(同法164条4項),成立の審判の告知も要しない(同条5項)など,それぞれの手続における手続上の立場が異なる点や,令和元年改正の趣旨に鑑みると,原則として両手続を併合しないで審理を進めるべきであろう。例外的に併合審理が可能な場合としては,例えば養子となるべき者の父母が,養親となるべき者の親族であり互いに事情をよく知っており,特別養子縁組に同意をしていて争いがない場合などが考えられる。75)イ 養子となる者が15歳以上である場合の同意の時点 養子となる者が15歳以上である場合の同意は,第2段階の手続において確認することになるかと思われる。76)15歳に達しているか否かの基準時は,特別養子縁組の成立の審判時である。77) 第12章 令和元年改正法に基づく特別養子縁組の審判事件26874)山口・前掲注2)43頁75)部会第7回会議議事録(PDF版)52頁76)部会第9回会議議事録(PDF版)12頁77)山口・前掲注2)26頁
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