第18章1 家事調停における調停機関3791 家事調停における調停機関1)逐条解説743頁⑴ 家事事件手続法の規律 家事事件手続法247条は,調停事件を担当する調停機関について,その1項で「家庭裁判所は,調停委員会で調停を行う。ただし,家庭裁判所が相当と認めるときは,裁判官のみで行うことができる。」と定め,2項で「家庭裁判所は,当事者の申立てがあるときは,前項ただし書の規定にかかわらず,調停委員会で調停を行わなければならない。」と定めている。この調停委員会による調停(実務では「委員会調停」と呼ばれているので,本稿ではこの用語を用いる。)を原則とする家事事件手続法の規律は,家事審判法からの規律を維持したものである。 家事事件手続法が家事審判法における委員会調停を原則とする規律を維持したのは,家事調停は当事者間の話合いを通じた合意による紛争の解決を目指す手続であるから,そこでは,当事者の感情的対立を理解しつつ,情誼に基づき,社会的な良識を反映させた合意の内容となるようにすることが望ましいからと説明されている。1)⑵ 単独調停 家事審判法下から家事事件手続法施行後の現在に至るまで,家事調停実甲 斐 哲 彦~合意に相当する審判対象事件を中心とした委員会調停と単独調停単独調停についての試論
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