9_信託80
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第。11とについて余り争いはないとされています章1検 討議決権信託は,有効でしょうか。また,当該会社が上場会社の場合に違いがあるでしょうか。会社支配権の維持,遺産承継の過程における議決権の分散防止等の観点で,議決権の行使と株式から得られる経済的な利益(配当等)を分割したいというニーズがあります。議決権信託におけるスキームとしては,例えば,株主(委託者)が保有株式を受託者に信託譲渡し,自己が議決権を保有するものの,自己が死亡した後は,後継者である子Aが議決権及び経済的利益を受け(受益者A),子Bは経済的利益のみを受ける(受益者B)とする,というものが考えられます。まず,ここでいう議決権信託については,株式のうち議決権だけを信託するものではなく,受託者に議決権を行使させることを目的とした株式の信託を指すこととします。これは,会社法上,株主の権利としては,①自益権(配当請求権等)と②共益権(議決権を中心とした会社経営を監視する権利)とがあり,自益権と共益権とを分割して譲渡することはできないと考えられているためです。この点,道垣内弘人教授は,このような議決権信託について有効であるこまた,中小企業庁が行った「信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に疑問1 議決権信託の有効性信託の設定疑問1議決権信託の有効性

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