弁起案
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第4 第2編について4 第2編について 第2編では,5つの章において,5つの事例を題材に,訴状(2ケース),答弁書(2ケース),最終準備書面(1ケース)を扱っている。 使用している事案は,臨場感を持たせるために実際の事件に似せて作成しているが,全く架空の事件である。登場する当事者や代理人,関係者も実在しない者(あるいは実在する者と何ら関係がない者)であり,地名なども実在する場所とは全く関係がない。このような全く架空の事件について,訴状等の起案に必要な情報を示し,その情報をもとに作成された3つの起案を掲げ,その起案について解説をしている。取り上げた事案は,不動産登記訴訟や不動産賃貸借,不法行為訴訟といった実務上比較的多く見かける事件類型のものである。第5 訴状・答弁書起案(第2編第1章〜第4章)について5 訴状・答弁書起案(第2編第1章〜第4章)について 第2編第1章及び第2章は訴状の起案,第3章及び第4章は答弁書の起案である。ここでは,相談者が必要な資料を持参して弁護士に相談する場面である法律相談の状況(セクション1),依頼者が相談に持参した資料(セクション2),起案例(セクション3),起案解説(セクション4)に分かれている。 読者は,法律相談の状況(セクション1)を,引用された資料を確認しながら読み,それらの情報をもとに訴状・答弁書の起案をしてもらうことを想定している。 セクション3の起案例では,「参考となる起案」(正解起案ではない)と「課題の残る起案」を合わせて3つの起案例を紹介している。主張書面について,法律構成も含めて何が正解かの判断は困難であるため,参考となる起案については,課題がないように作成したものである。課題の残る起案は,それぞれ参考となる起案に比べ課題が存在している起案である。それぞれ起案の右端の網掛け部分において,記載の根拠条文や,記載された内容の趣旨,問題点,改善方法などのコメントを付している。 起案解説(セクション4)では,最初に事案の概要と最低限の要件事実的な解説を述べた上で,3つの起案について,解説を施している。課題の残る起案では,司法修習生の起案などでよく見かける課題を中心として改善すべき点などが指摘されている。第6 最終準備書面起案(第2編第5章)について6 最終準備書面起案(第2編第5章)について 第2編第5章は,人証調べ終了後,審理終結前に提出されるいわゆる最終準備書面の起案である。ここでは,期日等の経過(概要)(セクション1),訴状・答弁書,書証などの訴訟記録(セクション2),起案例(セクション3),起案解説(セクション4)に分かれている。Section 1 本書利用の手引き3して,既に類書が多数存在している。詳細についてはそちらを参照していただくこととし,本書第1編では,特に重要なところ,注意を要する点などを簡潔に触れるにとどめている。 本書は,それらの基本的な知識等を前提として,実際にどのように起案すればよいかを具体的な起案を例に検討することを中心としており,本書第2編の5つの章がこれに当たる。

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