弁起案
21/62

Section 1 法律相談の状況29【資料9(現況測量図2)を示す。】夏子 最初に渋沢さんが私たちを案内して渋沢さんの家と広告地の境界線を見せてくれました。12 甲野 図面を使って示していただけますか。夏子 はい。この図面の①に門があって,ここから渋沢さんの案内で中に入りました。建物には,しばらく前に引っ越しをして誰もおらず,荷物もなくいつでも解体できる状態ということでしたので,建物の周りの敷地を見て回りました。最初に案内された境界線が②です。そこには白いテープを使って柵のようなものが作られており,渋沢さんは,ここが境界になりますよと言われたように思います。 この時,私は,渋沢さんから図面の③の南側三角地も興味があれば売りますよというようなことを言われました。立木が何本かあるところです。私は,内心,利用価値があまりない土地だと思っていたのですが,初対面の顔合わせで人柄を見たいと言われている中で,いきなり「興味はありません。」と言うのもためらわれ,「母にも相談してみます。」と曖昧に回答したと思います。 それから,渋沢さんは,既存建物の周りを案内してくれました。渋沢さんが先頭で母が二番目,その後ろに夫,私,長沢さんと続いていたと思います。ご覧のとおり既存建物の周りは狭いので,並んで見ることはできませんでした。私は,ゆっくり歩いていたので,少し母と距離が空いていました。13 甲野 その日はほかに何か話をしましたか。竹田 一通り案内してもらった後,現況測量図2(資料9)の④のテラスの辺りに全員が戻りましたが,私は全員が戻ってくるまで渋沢さんと町内会の話などをしました。夏子が戻ってきて渋沢さんと話を始めたので,後は夏子に任せました。夏子 私が図面の④に戻ってから,渋沢さんが私に,どのくらいの大きさの家を建てるつもりかと聞いてきたので,私は「設計会社も決まっていないので,まだ分かりませんが,あまり大きくならないと思います。」と答えました。それは,もともと私たちは100坪くらいの土地を探していたのに,この土地が75坪弱だったからです。ただ世間話ですから,数字を挙げたわけでもないし,根拠を示したわけでもありません。 それから,渋沢さんがさらに,庭もなくしてしまうほど大きな家になるのか,という趣旨のことを聞いてきたので,「それほど大きくならないと思います。三人ですから。」という趣旨の回答をしました。渋沢さんも「三人だから大きな建物にはならないだろうね。」と言っていました。14 甲野 渋沢さんとはほかに何か話をしましたか。夏子 渋沢さんから,家族は何人なのかと聞かれたように思います。渋沢さんがここを売るときに出した条件があって,アパートや賃貸はダメだ,家族の人数は少ない方がよいと言ったので,私が「広告には賃貸もよいと書いてありましたよね。」と言うと,渋沢さんが仲介の松本さんをにらんで,賃貸はダメだと言ったじゃないかと怒っていました。それで私が,私たちは三人だし,人数も少なくてちょうどよ

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る