❸第2 請求の原因❺売買代金:100,000,000円手 付 金:本契約締結時支払時に10,000,000円残 代 金:令和3年3月1日に90,000,000円引 渡 日:売買代金全額受領日Section 3 起案例❶ 登記原因日付は,売買契約の効力発生日である。通常は売買契約締結日であるが,売買代金受領の日に所有権が移転する旨の特約がある場合は,売買代金受領の日が登記原因の日となる。本件は,令和3年3月1日となる。売買契約の効力発生日が不明である場合は,「年月日不詳売買」などと記載する。❷ 登記手続を命ずる判決には(性質上)仮執行宣言を付することはできない。❸ 売買契約に基づく財産移転請求権の請求原因は,売買契約の成立で足り,本起案は請求の原因において端的に売買契約の締結を主張している。売買契約の成立には目的物と売買代金の合意を主張すれば足りる。本起案では,手付金や引渡日などを記載しているが,このうち引渡日は記載しておくことでよいであろう。その余の記載は必ずしも必要ではないが誤りとまでは言えない。❹ 証拠(資料1等)を引用すべきである。❺ 判決文では金額の表記については,「1億円」,「1000万円」「9000万円」とすることが一般的である。この起案のように全部算用数字にして,3桁で位取りして「123,456,789」と書くことも間違えとはいえない。❻ 売買契約に基づくことが記載されており,訴訟物の特63記起案2 課題の残る起案その1【冒頭部分省略】第1 請求の趣旨1 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載1及び2の土地及び建物を引き渡せ2 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載1及び2の土地及び建❶物について,令和2年10月27日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ3 訴訟費用は被告の負担とする❷との判決並びに仮執行の宣言を求める。1 土地及び建物の売買契約の締結 原告は,被告から,令和2年10月27日,被告が所有する別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び別紙物件目録記載2の建物(以下「本件建物」といい,本件土地及び本件建物を総称して「本件不動産」という。)を下記の条件で買った(以❹下「本件売買契約」という。)。2 よって,原告は,被告に対し,本件売買契約に基づき,本件不動産を引き渡すとともに,本件不動産につき,本件売買を原因とす❻る所有権移転登記手続をすることを求める。第3 関連事実1 本件売買契約締結の経緯 ⑴ 原告は,自分の娘である福山夏子氏とその夫の三人で,原告❼所有のマンションで住んでいた。原告は,自己の所有する賃貸マンションの管理が負担になってきたこともあり,そのマンションを売却し,バリアフリー対応の二世帯住宅を建て,娘夫婦たちと一緒に❽暮らそうと考えた。 ⑵ 原告は,令和2年10月頃に,自身の望む二世帯住宅を建てられる土地,すなわち,本件土地の一部(本件土地のうち南側の三Point(起案2・起案3 共通)・起案2,起案3いずれも関連事実の記載が訴状段階では詳細に過ぎる。・起案3は請求の原因における要件事実の記載が不正確。・起案3は不動産の現実の引渡しを請求の趣旨に入れていない。
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