弁起案
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第2編・第1章 意思表示の瑕疵に関する事件(訴状起案)64角地(甲第1号証 〔資料9の③部分〕)を除いた部分。以下「広告❾地」という。)についての広告(甲第2号証 〔資料4〕)を見つけ,原告の仲介業者である新令和不動産株式会社(以下「新令和不動産」という。)大宮支店の担当長沢正子氏(以下「長沢氏」という。)を通じて,広告地を紹介してもらった。原告は,売主に対し,長沢氏を通じて,当該チラシに記載の条件で購入申込書を送付した。まもなく長沢氏から,売主が了解したとの連絡が入り,契約締結日は令和2年10月24日に決まった。 契約を控えた令和2年10月18日,原告は売主である被告と面会した。被告は,原告に対して,広告地の現地案内をした。なお,この際に,被告から原告に対し,広告地上に新たに建築する建物の大きさやその配置について何らかの具体的な要望が伝えられたという事実はない。 ⑶ 契約締結予定日である令和2年10月24日,長沢氏は,原告に対し,被告が別の人に本件不動産を売る,という話を伝えた。原告が被告に,何故気が変わったのかを尋ねたところ,被告は,別の人は南側の三角地も買うし,本件建物もそのまま使うから解体費用がいらないから,と述べた。 原告と被告の交渉の結果,原告は,本件不動産を100,000,000円で現況渡し(解体費用は買主負担とする)との条件で購入することとした。なお,このときも被告から原告に対し,本件土地上に新たに建築する建物の大きさやその配置について何らかの具体的な条件が示されたことはない。 ⑷ 令和2年10月27日,原告と被告は新令和不動産にて,本件売買契約を締結し,手付金を支払った(甲第3号証 〔資料1〕,甲第4号証 〔資料3〕)。このとき,原告は長沢氏が読み上げる契約書と重要事項説明書(甲第5号証 〔資料2〕)の条件を一つずつ確認したが,その際にも本件土地上に建築する建物の大きさや配置について何らかの具体的な条件が示されたことはない。2 被告が突如原告の契約違反を主張し始めたこと ⑴ 令和3年1月22日,被告が,長沢氏を通じて,新築建物が被告の思いと異なるため翌23日に打合せがしたいと原告に伝えた。 令和3年1月23日,被告は,原告に対して,本件売買契約では新築建物の大きさが条件となっており,原告が建築を予定している建物(甲第6号証 〔資料7〕)はその条件に違反していると主張し始めた。原告は,この時はじめてそのような条件を聞いた。なお,この時点でも,被告から原告に対し,建物の大きさや配置などの建築制限について具体的な数値が示されたという事実はない。 この日は,原告・被告の双方で互いに譲れないかを検討すると約定としては十分である。登記原因の日付も記載した方がよいであろう。❼ 法律相談状況(その1)1項では,原告の賃貸マンションに住んでいたのは福山夏子夫婦だけである。実際には原告は夏子夫婦とは別に暮らしていた。事実の誤解がないように気を付けたい。❽ 原告の本件不動産購入の動機についてはもう少し簡潔に記載するのでもよいであろう。❾ ここで広告を引用するのであれば,広告に記載されている売買の条件について主要なところは頭出ししておくとよい。 時間の流れで順番に記載しているが,ここで「なお」以下の記載をしている趣旨が最後まで読まないと分からない。最初に問題点を記載するか,この部分で「なお」以下の記載をする趣旨を明らかにしておくとよいであろう。 南側三角地のことは本件の問題とはあまり関係がなく,記載するにしてももう少し簡潔に記載した方がよいであろう。詳細に記載すると南側の三角地の売買が被告の主張と何か関係するのか裁判官に余計な疑問を生じさせるように思われる。 「このとき」以下の記載も前述コメント❼と同様である。 起案に当たって全体の構成を考える際に,⑴,⑵……のレベルで何を記載するかを意識して,このレベルまでは小見出しをつけた方が読み手には理解しやすいであろう。第1 ○○ 1 ○○  ⑴ ○○……

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